「夏休みの発酵旅の振り返り」

いよいよ来週8/30(水)から営業を再開させて頂きます!!

表紙の木桶の写真の答えは最後まで読んでください(^o^)

自分のお店を持ってから初めて1ヶ月の長期間の夏休み。

夏休み本当にありがとうございました!!

こんなに長い休みを取ったのは、職場を変えた時くらいだったかな。

僕のパン屋人生の中でもとても有意義な時間となっています(^^)

感謝の思いでいっぱいです!!

僕が皆さんに恩返しできるとすれば、「良いパン」を焼いてお返しすること!

その「良いパン」って何?

「良い発酵」って何?

夏休みの期間中は、その答えをヨーロッパに求めるべきなんじゃ、、、?
と少し思いました。

日本人の体と心に染みるパンを焼くことを考えると、

日本の材料✖️日本の発酵

が閃きました。

そして、日本の伝統的な発酵食にヒントを求めながら発酵視点で旅してきました。

初めに各地の材料に注目がいきます。

昔から続く発酵食は地元の食材を大切に使う所が多かったです。

そして、日本はお米の国。

新潟県だけじゃない。
(新潟生まれの僕が言うのもなんですが 笑)

日本の風土にはお米が育てやすいから、米麹で醸す発酵食(醤油、酢、味噌)が多いんだと感じました。

それから、微生物の力で作用する「発酵」の技です。

「良い発酵」=保存性を高めて材料の良さを微生物の力で最大限に引き出すことだと感じました。

日本の各地で育まれた伝統的な「発酵食」から学ぶことがとても多かったです。

創業300年の福井県のとば屋酢店さん、創業500年の國嶋清平商店(麹屋)さんなどなど、醸造家さんたちのお話しを聞いているだけでも先祖代々から伝わる発酵食のプロダクトに自信と誇りを持って話す姿に感動でした。

そして、食べて奥深さに更に感動!!

発酵視点のとてもディープな旅でした(笑)

小倉ヒラクさんの「発酵ツーリズムほくりく」(写真2枚目)を参考に各地の発酵食を調べて旅することで、日本の発酵食のルーツや理解がとても深まりました!

「発酵」の3つ視点

①保存性(腐りにくくする)
②栄養(健康機能)
③美味しさ(複雑な旨味)

【①保存性】
海産物や農産物は地域ごとに良く取れるもの、そこでしか取れない産物もあることがわかりました。
1年を通して見ていくと、収穫の時期には食べきれない程取れていた事がわかります。
100年前の日本を考えてみると現代のような冷蔵庫、流通システム、保存料(添加物)は無かった時代です。
北陸や新潟は海が近いので塩ができる。だから塩で漬けるものが多く、米も栽培しているので糠漬け、糀で漬けるものが多かったです。
長野は山に囲まれて塩が貴重で手に入らない。だから「すんき」という無塩乳酸発酵の漬けものができた。
昔の人々の食糧を無駄にしない為の知恵から生まれたのが始まりだったんだと思います。

【②栄養】
日本の味噌、糠漬け。
海外のチーズ、ヨーグルト、ザワークラウトなど、
ただの保存食品よりも、発酵が加わった食品の方が消化吸収しやすく、健康維持に役立つ事が現代の科学によってわかってきました。
微生物の出す酵素の働きによって食材の成分を分解して、様々な栄養を出してくれます。

【③美味しさ】
栄養にも出てきた微生物の酵素の働きによって、もともとの食材にはない多くの成分が生まれてきます。
(例)味噌 大豆だけでは味わえない旨味、酸味、甘味、コク、香りを考えると、複雑に混ざり合うことで毎日食べても飽きがこない味わいになります。

滋賀 特有の発酵食品「鮒寿し」のような好みがハッキリ分かれるのも発酵の醍醐味。

子供の時のトラウマも、大人になると珍味に変わるものもあります。

【日本の発酵食文化について】
もともと発酵食文化は「手前味噌」のような「手前〜」が家庭の中でスタートしたものが多いようです。
家庭での発酵食は限られた環境でつくるので、良い意味で「不安定な発酵」(より複雑な発酵)が楽しめます。

産業化した発酵食には、家庭では真似できない「品質」の高さと安定が求められます。

そこで、

いろんな発酵食のお店で話しを聞く中で、「麹菌」、「乳酸菌」の働きが目立ちましたが、他のいろんな菌たちも作用しているようです。

高温か低温よって動く微生物、好気性(酸素が好き)か嫌気性(酸素が苦手)のどちらかを好む微生物の特徴も!

高温で好気性発酵させる発酵食品は、短時間で発酵が進むことで、臭いと風味がキツイものができやすくなる。
腐敗につながる雑菌も繁殖しやすいのかもしれません。

逆に、ものすごく発酵の時間がかかる低温で嫌気発酵した発酵食は、香りが良い。そして食べやすくアミノ酸を多く出す微生物が働いてくれるので旨味があって余韻が長い。
例としては、日本酒、味噌、長野県「すんき」、滋賀県の魚治さんの「鮒寿し」などなど「寒仕込」が日本人に相性の良い発酵環境なのだと感じました。

それから、木桶での発酵。
木目の隙間に微生物が入ることでより複雑な味わいになる。
日本の伝統的な発酵食のお店では、理に叶って使い続ける意味がある。
うちの発酵種でも試してみることに(^^)

木曽(長野県)の道の駅で丁度良いサイズの木桶を手に入れました!

夏休み明けのパンたちがどんな風に醸されていくのか楽しみにしてくださいね〜(^o^)

【参考にしたガイドブック】

「発酵ツーリズムほくりく」

著者 小倉ヒラクさん

【旅のスケジュール】

2023.8/1-8/6
北陸(福井、石川、富山)、新潟、長野、滋賀、京都

2023.8/17-8/18
愛知県(岡崎市、西尾市、碧南市、半田市)

2023.8/22-8/23
三重県松阪市

2023.8/26
大阪府羽曳野市

とば屋酢店さん
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